Google Reader終了とFeedly移行 - タグ機能を強化してくれるといい


Capture via Feedly


3月にGoogle Readerのサービス終了が発表になって以来、大勢のユーザーと同じくどのRSSリーダーに乗り換えようか頭を悩ましてきた。ほとんどの人がlivedoorリーダーかFeedlyあたりにサクッと乗り換えてしまっているのかもしれないけれど、自分の場合ちょっと踏み込んだRSSリーダーの使い方をしているので、いまだにずるずるとGoogle Readerを使い続けている。


同じく困っている人もいると思うのと、乗り換えにあたっての自分自身の課題を整理したいというのもあり、ここらでいったんまとめてみたいと思う。


自分的RSSリーダーに必須な機能 : タグ

色々な人が色々な目的でRSSリーダーを使っていると思うが、自分の場合はとあるテーマに特化したブログ運営のための情報収集・整理のツールとして使用している。pinponcomという海外の再生可能エネルギー情報を紹介するブログなのだが、太陽光発電風力発電スマートグリッドといった各テーマに特化した海外のブログメディアから、企業のプレスリリース、政府機関のウェブサイト等約20のフィードを登録し、その中からこれはと思ったトピックをピックアップし、日本語に訳して紹介している。


一つのトピックだけで記事が成り立つことも多いが、コンテンツの質を高めるためには複数の切り口から掘り下げたり、関連トピックを取り上げて横展開をする、また時系列に沿って遡るといった工夫が必要となる。この一工夫をRSSリーダーで実践するのに大きな力となってくれるのがタグ機能だ。


例えば、昨今の太陽光発電市場においてよくある話だが、とあるパネルメーカーが倒産したとする。最近だと中国のSuntech(サンテック)の例が記憶に新しいが、RSSリーダーにおいて関連記事に「Suntech」というタグをつけて蓄積しておけば、倒産したという事実だけでなく、倒産に至る経緯や、世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が同社を買収しようとしている噂、またSuntech倒産によって原料となるポリシリコン供給元などの取引各社にどのような影響が出ているかなど、多くの関連事項を即座に引き出すことができる。




タグ機能がそこそこ充実していたGoogle Reader

このタグ機能がそこそこ充実していたのがGoogle Readerだった。


  • タグをつける
  • つけたタグをもとに情報を引き出す


ということが高速・かつ比較的ストレス無く行えたのが、ブログ記事執筆のための情報収集にあたってGoogle Readerを使い続けたきた一番の理由だと思う。


例えばタグをつける時、Google Readerはキーボードショートカットが用意されていて、「t」のキーを押すだけで入力状態となる。また入力する際も、数文字入力すれば過去の履歴から類似候補をピックアップしてくれるので、全文字をタイピングせずにさくさくと入力していくことが可能だ。




情報を引き出すという点についても、左側に表示される一覧から目的のタグをクリックして該当エントリー一覧を表示する以外に、各エントリーに付けられたタグ一覧からも該当エントリー一覧を表示することができる。これは、その記事を読んでいて関連情報に当たりたくなった時に役に立つ。




どれも目新しさは無く、タグ機能が実装されているウェブサービスなら大抵は備えているものだが、この基本的なタグ機能RSSリーダーにおいて実現しているのは、メジャーなサービスではGoogle Readerだけなのでは無かったのかと思う。


Google ReaderFeedlyが実装しているタグ機能の違い

この様に、これまでタグ機能を中心としてGoogle Readerにどっぷり浸かり情報の収集・整理を行なってきたため、Google ReaderからFeedlyに移行するにあたって、求めるタグ機能Feedlyにどの程度実装されているかというのが重要なポイントとなる。


結論から言うと、Feedlyにもタグ機能があるものの、「とりあえずタグをつけられる」程度のものでありまだまだ実用には耐えられないというのが正直な感想だ。




まず、タグをつける際のキーボードショートカットが無く、タグをつけるためにはキーボードから一度手を離して「+Tag」をクリックするしか無い。これではとても大量のフィードをさばく気にはなれない。そしてクリックすると表示されるタグのリストから、目的のタグを見つけ出さなければならない。


そして何よりも致命的なのが、一つのエントリーに対して一つのタグしかつけられないということだ。自分の場合、各エントリーに対して「大カテゴリ(太陽光、風力等、どのような発電方法に関する話題なのか)」、「中カテゴリ(市場動向なのか個別のプロジェクトの話なのか、それとも政策に関する話しなのか等)」、「国・地域(どこの国、地域で起きたことなのか)」「企業名」という4つのタグは必ずつけるので、現時点でFeedlyRSSリーダーとして使用するのは現実的では無い。


Google ReaderFeedlyタグ機能の違い
Google Reader Feedly
複数のタグ付け ×
キーボードショートカット ×
タグ入力時の自動補完 ×
各エントリーにつけたタグからの記事一覧表示 ×


設計思想に「情報の整理・加工」という視点が含まれているか

FacebookTwitterでの情報発信が当たり前になったことにより、RSSリーダーにもワンクリックでその様なソーシャルメディアに投稿できる機能が実装されていることがほとんどだ。Feedlyも御多分にもれずTwitterFacebook、Linkedin、Google+をはじめとした各ソーシャルメディアボタンが充実している。




このような機能によりソーシャルメディアに流れる情報量が格段に増えたことは間違いないものの、多くがエントリータイトルとURL、あったとしても記事内容の要約や内容に対する短いコメントに留まっている。一歩踏み込んだ考察や時系列での推移や関連情報の併記などは、これまで通りブログが担うことになると思われるが、個人が運営するそうしたブログが増えたという実感は無く、むしろFacebookTwitterの台頭とともに減少に転じていると思う。


その背景には、もともとブログで発信していた情報が、FacebookTwitterで事足りる、むしろその方が適しているという事実も考えられる(参考記事 : ブログが衰退した原因)。しかし自分としては、情報発信において「情報の整理・加工」という視点が抜けていることも大きく影響していると考えている。その流れとして、RSSリーダーにもその設計思想として「情報の整理・加工」という視点が抜け、「個人的なデータベース」としての機能の重要性が薄れているのでは無いだろうか。


Feedlyの今後に期待

とは言いつつもGoogle Readerが予定通り終了することに変わりは無さそうである以上、代替サービスに頼らざるを得ない。その中でも、Googleアカウントでログインすれば自動的に環境移行できる、クローンAPIの用意など一歩踏み込んだ準備を行なっているのがFeedlyだ(参考記事 : Google Reader 代替にFeedly が名乗り。他社アプリのAPIアクセス受け入れも表明)。


タグ機能の強化についてはユーザーフォーラムで盛んに議論されている他、Google Readerにてこれまで蓄積してきたタグ情報についても、手動ではあるものの移行手段を用意している(参考記事 : Migrating your tagged articles from Google Reader to feedly)のは他サービスには無い措置であり、今後のFeedlyの機能改善に期待したいと考えている。